2005年11月11日・・・

6. コンピュータと学力向上

残念ながら、日本では、「応個学習」、「自学自習」に使える本格的なソフトウェアがなかった。 それゆえ、ほとんど失敗している。教育ソフトなら何でもいいという訳にはいかないのです。 「応個学習」、「自学自習」を可能にするものでなければ失敗してしまうでしょう。

長年、教育とコンピュータの世界で生きてきた人間として、少々、補足させていただけば、 成功の鍵はソフトウェアなのです。 「 みらい21」は、このソフト開発を進めるために設立された会社です。すでに生徒用と教師用システムは、開発に成功。いいものができています。サンプル教材もある。あとは、eラーニングの実質上の本体とも言える「教材」を構築していくことです。(この教材を「コースウェア」。コースウェアの集合体を「教材データベース」と呼んでいます)。

「個人別学習、応個学習、自学自習」のための配慮が込められたコースウェア、生徒の理解・スキル獲得のために開発されたコースウェア、その集まりである「教材データベース」は、「eラーニングの命」であり「eラーニングの血液」です。この開発には、コンピュータの経験を積んだ教師、あるいは教師経験のあるソフトウェア技術者が携わるのでしょうが、最終段階では、それに「生徒」という1者を加える。どんなに、素晴らしいと思われても、最終判定は、「生徒の様子」、「生徒の学力」で決まるのでしょうから。

生徒が「わかりずらい」と感じているならば、その部分を「わかるように」コースウェアを改良しなければならない。この「わかりずらい」箇所は、「誤答率」と「所要時間」から推定される。そのデータは「紙メディアの学力テスト」と違い、eラーニングですから自動的に記録が残っている。ここから「客観的に」優れたコースウェアと拙いコースウェアの違いが見えてくる。この改良作業を根気よく繰り返すことで、そのeラーニングシステムは、より完成度の高いものになっていく。こう書くと簡単ですが、教師の思索と努力の結晶であるコースウェアが、生徒に「採点」されるのです。なかなか厳しい。しかし、この貴重な「経験」の中からしか、いいものは生まれてこない。実証データに裏付けられたeラーニングシステムは、徐々に、より普遍的なもの、より科学的なものに進化していく。

全体を俯瞰すると、この「教材データベース」は、冒頭述べた「人」付随の「教え方」が「人」から分離、独立した象徴です。今は亡き、私の先輩、生徒に絶大な人気のあった数学のベテランY先生の指導法を、みらい21の「サンプル・コースウェア」の中に、1ポイントですが(正負の数14・正負項は男女)入れておきました。亡くなられても、貴重な先生の教え方が、厳然と残っていて、これからも多くの生徒の学習に貢献していくことでしょう。 人から分離したコースウェアは、成功事例・失敗事例ともに、詳細に比較・分析できる。

いつの日か、多くの先生方がコースウェア開発に挑戦する時代がくれば、その内容もきっと多彩になる。1人ひとりの先生の個性を反映した優れたコースウェア、切れ味のよい1ポイントがたくさん出てくるでしょう。生徒にとって幸せなことです。 この「教材データベース」が、とりあえず、一応、完成した暁には、色々な応用が可能になる。未来の「学校革命」とも呼ぶべき重要なパーツになる。思いつくままに並べると、「パソコンを利用した応個学習」は、学習の時と場所を選びませんから、何らかの理由で学校に通えない不登校生徒にも、学校と同じ「個人別学習」のチャンスを提供できる。もちろん、通常の生徒の「家庭学習」にもなる。宿題というと強制です。それも悪くない。しかし、学校での「個人別学習」が軌道に乗れば、何割かの生徒は、きっと強制されなくても、家で学習してくる。30代のときの体験です。

この「教材データベース」は、「デジタル・データ」です。当然、ITインフラが利用できる。距離的に遠く離れた九州と北海道の先生が、コースウェアを、e-mailで瞬時にやり取りできる。もちろん、印刷すれば、紙メディア教材になる。 みらい21のeラーニングシステムは、CASELといいます。「キャセル」は、通常のワープロでは難しい「放物線」のグラフも、高校化学の「ベンゼン環・糖」も簡単に印刷して、資料や定期テスト原稿をつくれます。数学の基本図形もアニメーションも、実に簡単に書けます。必要なら音声も利用できる。もちろんeラーニングだから、生徒入力を採点し、○×を出せる。ヒント制御もできる。